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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)と妊娠

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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)と妊娠

バセドウ病

バセドウ病

バセドウ病とは

何らかの理由で甲状腺ホルモンが沢山分泌されて、甲状腺の機能が異常に高まることを甲状腺機能亢進症といいます。甲状腺機能亢進症を起こすもっとも多い原因が「バセドウ病」です。

機能亢進症の症状は元気がよくなりすぎて情緒不安定となり、手の指が震えたり、動悸を感じるようになります。沢山の汗をかき、暑がり、皮膚は湿った感じとなります。基礎代謝があがるので体重が減少し、甲状腺が腫れたり目が飛び出してきます(眼球突出)。バセドウ病は人口1000人あたり3人ほどの頻度で、圧倒的に女性に多い病気です。若い方の罹患も多く、妊娠と合併する頻度も高いですね。船橋市の甲状腺内科外来をやっていて妊娠と合併する疾患の中では、比較的良く見かける疾患です。バセドウ病は自分の細胞を刺激してしまう「自己免疫性疾患」の代表的なものです。

甲状腺をコントロールしている脳下垂体から分泌されるTSHホルモンを受け取る受容体という構造(レセプターといいます)が甲状腺の細胞の表面にあります。このTSHレセプターにくっついてしまう自己抗体が自然に作られてしまうのがバセドウ病の原因です。自分を攻撃してしまう自己抗体を作ってしまう訳です。この抗体をTRAb(抗TSHレセプター抗体;anti-TSH receptor anitbody)といい刺激型(TRAb)と阻害型(TSBAb)などが含まれます。TRAbが多いほど甲状腺機能亢進症状が強いので、バセドウ病の重症度を判定するのにTRAbがよく利用されます。

バセドウ病の妊娠中の管理

バセドウ病があっても妊娠継続は可能です。しかし、薬剤などでちゃんとコントロールされていないと流産、早産、死産が増加します。
また胎児の発育が不良となったり、妊娠高血圧症候群を起こしやすいとも言われます。出生後の赤ちゃんに新生児甲状腺機能亢進症を引き起こすこともあり十分な管理が必要となります。赤ちゃんの亢進症症状は生後4-5日位かららではじめ数ヶ月持続するため出生との注意深い観察が必要です。頻脈や刺激に反応しやすい、哺乳意欲がとても強いなどの症状があります。
妊娠中の母体のTRAbが高い場合や甲状腺亜全摘術後はハイリスクといえます。バセドウ病は妊娠初期にやや悪くなり、中期から後期でやや軽快し、産後にまた悪くなるという特徴があります。妊娠初期に悪くなるのはhCGの影響で、産後に悪くなるのは妊娠中にやや免疫抑制状態だったものが元に戻るからです。甲状腺機能亢進症が急激に増悪することを甲状腺クリーゼといい、母児ともに死亡する可能性が高いとても怖い状態です。ただ、クリーゼが起きるのはバセドウ病が未治療であったり、薬剤によるコントロールがうまく行われていない状態のときが多く、そういう意味でも必要な薬剤はちゃんと内服する必要がありますね。

妊娠中の甲状腺機能亢進症の治療は抗甲状腺薬が中心となります。使用される薬剤は以下の2種類です。名前が似ているので注意!

メチマゾール(MMI;Methimazole)
もしくはチアマゾール(Thiamazole)

(商品名メルカゾール5mg、メチマゾール)
プロピオチオウラシル(PTU;Propylthiouracil)
(商品名プロバジール50mgやチウラジール50mg)

薬物治療において妊娠中は薬剤の選択が重要になります。メルカゾール(MMI)の方が効果の面、副作用の面から使用しやすいのですが、メルカゾールは妊娠初期の胎児奇形の原因となり得るため「MMIは妊娠4週から7週までは使用しない方が無難」とガイドラインにも記載されています。そのため妊娠初期は可能であればPTUへ変更が勧められます。授乳中は母乳に移行する量がより少ないPTUが勧められます。ただ、MMIなら1日10mg以下、PTUなら1日300mg以下なら断乳の必要はないとされています。

甲状腺機能亢進症があり内服治療中の方で、妊娠を望んでいる場合は甲状腺を管理してもらっている内科で妊娠を望んでいることを伝えておくことと、妊娠が分かったらなるべくはやくかかりつけの内科を受診するようにしてください。妊娠により甲状腺機能が変動し、薬剤の種類や量の変更となる可能性がありますので。また、妊娠初期のMMIからPTUへの変更は、甲状腺機能のコントロールを優先するために不可能なことがありますので、この辺は産科医、内科医とも相談の上、治療方針を決定することも重要ですね。

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