消化器内科

逆流性食道炎の初期治療後の方針

9月 14, 2016

GERDの初期治療後の方針

船橋市の内科

内科

GERDに対する治療だが、PPIを第一選択薬として、症状が落ち着いてくるとPPIを半量にする治療が、いわゆるステップダウン療法があると思う。しかしその際、PPI半量のみで良いのか、消化管運動改善剤などの追加処方もした方が良いのか、疑問になっている。

GERDの初期治療後の方針について、最近ではあまり「ステップダウン」という言葉そのものは使用されなくなってきているように思われる。ガイドラインでは、粘膜傷害の重症度に応じて、重症のびらん性GERDでは積極的な維持療法を推奨している。一方、軽症のびらん性GERDについては、症状を十分に観察の上、必要に応じて維持療法を行うことを提案している。また軽症のびらん性GERDの一部はPPIのオンデマンド療法が有効であることも示されており(Hepatogastroenterology 2009;56:67-74, Digestion 2010;81:43-52)、選択肢の一つに挙げられている。長期管理においては症状を適宜評価し、必要に応じた最小限の用量の使用を提案している。

PPIの用量に関しては、常用量と半量を比較すると、常用量のほうが、再発抑制効果が高いことが示されている(Cochrane Database Sys Rev 2005;2:CD00325, 医薬ジャーナル 2009;45:1657-1665)。また半量でコントロール不十分な場合に常用量で維持療法を行うことが合理的であることも示されている(日本臨床 2004;62:1504-1509)。

GERDでステップダウンと言われる場合、ほとんどがPPI半量のみを指していることが多いと思われ、それでコントロール不十分な場合は、(十分なエビデンスがない)PPI半量+消化管運動改善薬よりは、PPI常用量に戻すことでよいと思われる。

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