心筋梗塞

抗血小板療法

4月 6, 2016

抗血小板療法

動脈硬化性疾患

動脈硬化

血小板と凝固系は密接に関連しており、ACSにおいて血小板が活性化されると、血小板細胞表面に発現されたリン脂質を介して凝固系が活性化し、トロンビンが産生され、フィブリノーゲンをフィブリンに転換すると同時に、血小板細胞上のトロンビン受容体を介してさらに血小板が活性化する。そのため、抗血小板剤は血小板の活性化阻害することで、凝固系の活性化まで阻害できるため、STEMIにおいて必要不可欠と言える。

日本におけるガイドラインでは、STEMIに対する標準初期治療として、アスピリン(81~162mg)無期限投与が禁忌ない限りクラス1となっている。また、PCIを予定している患者では、冠動脈ステント留置を行うことが予想されるため、ステント血栓症の予防目的でアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の2剤併用療法が推奨される。チエノピリジン系薬剤で、クロピドグレルはチクロピジンよりも副作用が少なく、初期負荷投与(loading dose)300 mg により数時間後からの効果発現が期待できる。

一方、2014年に次世代の抗血小板剤としてプラスグレルが使用可能になった。クロピドグレルと同様にP2Y12受容体の不可逆的阻害薬で、強力なnon-responderが少ないことが期待される。日本では、第2相臨床試験(用量設定)と二つの第3相臨床試験(有効性と安全性) が行われ、プラスグレルは、CYP2C19の遺伝子多型の有無にかかわらず、安定した血小板凝集抑制作用を発揮すること、早期から血小板凝集抑制作用を示すことが確認されている。

まだ日本未承認ではあるが、P2Y12受容体の可逆的阻害薬のチカグレロールも開発されている。半減期も7-8時間と短く、非心臓手術を控えた患者の抗血小板愛として期待ができる。ACS患者におけるクロピドグレルとチカグレロールの効果を検討したPLATO試験では、心臓死、心筋梗塞、脳梗塞のエンドポイントはチカグレロール群において有意に低く、出血性合併症に差はなかった。

-心筋梗塞
-