循環器内科

心疾患リスクのある人は、コレステロール降下薬のスタチンと降圧薬を指示通りに服用しなければ、致死的な脳卒中のリスクが7倍となる

4月 5, 2016

心疾患リスクのある人は、コレステロール降下薬のスタチンと降圧薬を指示通りに服用しなければ、致死的な脳卒中のリスクが7倍となる

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心疾患リスクのある人は、コレステロール降下薬のスタチンと降圧薬を指示通りに服用しなければ、致死的な脳卒中のリスクが7倍となることが新たな研究により報告され、「Journal of the American College of Cardiology」に3月28日オンライン掲載された。

また、両方の薬をきちんと飲んでいる人に比べて、降圧薬しか飲んでいない人では脳卒中による死亡リスクが82%上昇し、スタチンしか飲んでいない人では30%上昇することもわかった。 カデュエットの存在意義が発揮されそうだ。

今回の研究では、フィンランドの5万8,000人超の患者データを追跡。平均5.5年の追跡期間中に532人が脳卒中で死亡した。薬の処方記録を用いて、患者が医師の指示通りに薬剤を服用していたかを調べた結果、スタチンを処方された通りに飲んでいた人は6割にとどまった。

米ニューヨーク大学ランゴンJoan H. Tisch女性健康センターのNieca Goldberg氏は、治療プログラムの開始と継続は難題の1つだと話す。医師が、薬の役割や処方通りに服用する必要性について適切に説明していないこともあるという。「患者が服薬と疾患予防との関連性を理解する必要がある」と同氏は述べている。薬の数が増えるほど、患者が忘れずに服用できる確率は低くなる。また、薬の費用も問題となる。「ジェネリック薬も価格が上がっている。全く飲まないよりはよいだろうと、薬の量を減らす患者もいるが、それはしてはならない」と、Goldberg氏は言う。最終的には、単に面倒になって全てを投げ出してしまう患者もいる。

研究の筆頭著者である南デンマーク大学海洋健康科学センターのKimmo Herttua氏は、「高血圧と高コレステロールは脳卒中の主要な危険因子だ。有効な治療薬はあるが、正しく飲まなければ効果は得られない」と述べている。

「スタチンや降圧薬の服用を忘れないために、毎日メッセージで通知するなどの技術的な対策や、数種類の薬を1つの“合剤”としてまとめることで処方箋の数を減らす対策も有用と考えられる」とHerttua氏は話している。これにはすでにカデュエットが存在する。

米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のGayatri Devi氏は、「コンプライアンスを向上させる最善の方法は、その利益について教育することだ。私は、人から脳機能を維持する方法を聞かれたら、運動、食事、適切な薬剤により、心血管の健康を向上させることだと答えるようにしている」と話している。

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