高血圧症

ACE阻害薬に認知症リスクを下げるタイプ、上げるタイプ

5月 16, 2009

「中枢神経作用型」のACE阻害薬は「非作用型」のACE阻害薬に比べて認知症のリスクを下げるという。

循環器内科

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ACE阻害薬のうち、血液脳関門を通過して中枢神経に作用するタイプが他の降圧薬と比べて認知症のリスクを下げるという研究結果が発表された。

Angiotensin-converting enzyme inhibitors and cognitive decline in older adults with hypertension: results from the Cardiovascular Health Study.
Arch Intern Med. 2009 Jul 13;169(13):1195-202.

アルツハイマー型認知症に関係する脳の炎症を抑える作用によると見られ,中枢神経に作用しないタイプのACE阻害薬では,逆にリスクを高める結果となっている。中枢神経作用型のACE阻害薬でMMSEスコアの年あたりの低下が65%少ない。

中枢神経作用型に分類されるACE阻害薬は,カプトプリル, fosinopril,リシノプリル,ペリンドプリル,ラミプリル,トランドプリルである。わが国で処方可能なもののうちカプトプリルのように作用時間が短く使い難い物を除くと、

リシノプリル(「ロンゲス」=塩野義、「ゼストリル」=アストラゼネカ),ペリンドプリル(「コバシル」=協和発酵キリン)

が存在する。高齢の高血圧患者さんで認知機能低下のリスクが高い方の降圧にこれらを使用することは有意義である可能性が高い。特にペリンドプリル(コバシル)はHYVET試験で、高齢者の降圧療法において脳卒中リスクや死亡リスクを下げることが明らかになっている。

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