船橋の心臓病患者さんには、心臓病食。高血圧食を主体とした食事療法を徹底していただきたいと思っています。

船橋市の心臓病内科 | 心臓病船橋市

船橋泌尿器科

顕微鏡的血尿を認めた腎盂腎炎再発の一例

更新日:

顕微鏡的血尿を認めた腎盂腎炎再発の一例

【主訴】発熱
【現病歴】2014年9月2日、急性腎盂腎炎で当院泌尿器科に入院しCTRXによる抗菌薬の点滴加療を行い経過良好のため9月8日に退院していた。9月18日より腰痛、排尿時痛が再燃し、9月19日に再度39度台の発熱を認めたため当院救急外来を受診した。右優位のCVA叩打痛、炎症反応の上昇と膿尿、腹部CTにて右腎周囲の脂肪織濃度の上昇を認めたため、急性腎盂腎炎の診断で同日緊急入院した。
【既往歴】2014年9月 急性腎盂腎炎
【主な入院時現症】体温 38.7℃ 血圧 113/71mmHg 脈拍 99bpm SpO2 97%(RA) RR 15回/分
CVA叩打痛あり(右>左) その他明らかな感染所見なし
【主要な検査所見】WBC 15200/μL, RBC 428万/μL, Hb 13.0g/dL, Hct 39.0%, Plt 28.4万/μL, AST 15IU/L ALT 19IU/L, LDH 153IU/L, Alb 4.1g/dL, T-Bil 0.6mg/dL, CK 62IU/L, UN 8mg/dL, CRE 0.56mg/dL, CRP 1.99mg/dL, Na 142mEq/L, K 3.8mEq/L, Cl 103mEq/L, 血糖 99mg/dL
尿定性(2014/9/19):尿潜血 2+, 白血球 1+, 亜硝酸(-)
尿沈渣(2014/9/19):白血球 41-50/HPF, 赤血球 31-40/HPF, 細菌+
尿培養(2014/9/19):塗抹 GPC 1+ GPR 1+ GNR 1+ 白血球 1+ 貪食(-)
尿培養(2014/9/19):Escherichia coli 10^5/ml
腹部CT(2014/9/19):右腎周囲の脂肪織濃度の軽度上昇あり 腎盂拡張なし【入院後経過】
#1.急性腎盂腎炎
尿培養を採取したうえで、CTRX 2g q24hの点滴静注による抗菌薬治療を開始した。第2病日には41度台まで体温の上昇を認めた。第4病日にはWBC 5000/μl, CRP 6.24mg/dLと白血球の低下を認め、抗菌薬への反応ありと判断しそのまま継続した。第6病日より抗菌薬を内服へ変更したが、培養より同定されたEscherichia coliはペニシリン系耐性、セフェム系中等度耐性を認めたことから、LVFX 500mg 1T分1を選択した。その後は、経過良好のため第8病日に退院とした。
【退院時処方】
レボフロキサシン500mg 1T分1 7日分
【総合考察】
血尿とは、定義上は尿沈渣で赤血球5/HPF以上となる事である。腎~尿道~膀胱~尿道のいずれかで血液が混入すれば血尿となりうるし、女性であれば経血や不正出血が混入される可能性もある。ただし、濃縮尿やビリルビン尿なども問診では血尿と表現される事がある。スクリーニングの試験紙検査においても、ミオグロビン尿などで尿潜血の疑陽性を示す事がある。これは、ヘモグロビン中のペルオキシダーゼ様作用を利用して試薬成分と反応するため、必ずしもヘモグロビンに特異的であるとは言えないからである。以上より、詳細な問診、身体診察、検査の限界も知りながら総合的に診療を行う事が重要となる。
まず、緊急性の観点からERで行う初期対応のアプローチとしては以下のようなものが考えられる。
① 濃い肉眼的血尿、凝血塊を認める場合
出血量が多い事が予測されるため、頻脈や血圧低下などのバイタル確認、貧血に伴う動悸・ふらつき・息切れなどの症状の確認、眼瞼結膜、さらには採血検査による貧血の確認を考慮すべきである。糸球体や尿細管にはウロキナーゼがあるため、凝血塊を認めれば膀胱由来が疑わしい。さらに、多量の血液が凝血し膀胱タンポナーデを発症する可能性があるため、尿道カテーテル挿入、膀胱洗浄や持続灌流も考えうる治療の選択肢である。尿道損傷を引き起こす外傷、膀胱癌、放射線治療後などが原因として考えられ、抗凝固療法中のハイリスクな患者も多い。
② 尿検査、血液検査、薬剤歴の確認
頻度としては、尿路結石、尿路感染症によるものが多い。尿路結石における血尿は感度70-80%、特異度30-50%程度である。特異度が高くないため、その他の所見と併せ、単純CTが診断には有用である。尿路感染症においても血尿を呈する事があるが、診断は客観的な指標を欠くためその他の所見と、他の感染症を除外が大切である。
また、血尿から以下のものを鑑別する。ミオグロビン尿は筋肉の大量の崩壊を伴う疾患(熱傷、外傷、横紋筋融解症など)により生じる。診断には臨床情報が大切であり、CK・AST・LDHの上昇も参考となる。ビリルビン尿は直接ビリルビンの上昇により褐色調を示す。原因として、肝炎、薬剤などによる肝細胞性黄疸、胆道閉塞による閉塞性黄疸が考えられる。ヘモグロビン尿は溶血により生じるものである。
③ AKI合併
腎臓自体の問題によるものであり、Cre上昇や蛋白尿が目立つ事も多い。急性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎の可能性があれば、入院を視野に内科コンサルトすべきである。

以上のアプローチで状態が安定していれば後日、腎臓内科か泌尿器科での精査が勧められる。血尿が糸球体由来か否か、蛋白尿・腎機能低下を伴っているかが重要な鑑別ポイントである。糸球体由来の血尿であれば、赤血球円柱、変形赤血球を認める。或いは、1日蛋白尿500mg以上であれば糸球体由来を疑われる。
① 血尿のみである場合
糸球体由来であれば菲薄糸球体基底膜症候群、IgA腎症などが鑑別に挙がるが経過観察となる場合が多い。糸球体外由来であれば結石、悪性疾患の可能性も考慮して画像評価、尿細胞診で鑑別を勧める。
② 血尿+蛋白尿、腎機能低下を認める場合
糸球体腎炎の鑑別を専門的に進めるために、採血項目の追加、腎生検が考慮される。

本症例は、特記すべき既往歴のない若年女性であり、上・下部尿路症状、血尿・膿尿を認め、典型的な尿路感染症から腎盂腎炎へ進展した一例である。同定されたEscherichia coliも一般的な起炎菌であり、抗菌薬への反応も良好であった。
参考文献)
1. 「ER実践ハンドブック」 樫山鉄矢、清水敬樹 編
2. 「ジェネラリストのための内科外来マニュアル」 金城 光代、金城 紀与史、岸田 直樹 編

-船橋泌尿器科
-

Copyright© 船橋市の心臓病内科 | 心臓病船橋市 , 2017 AllRights Reserved.