循環器内科

心臓病手帳

3月 17, 2018

心臓病手帳

循環器内科

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循環器内科にご紹介いただいた患者さんにお配りしている心不全手帳ですが、皆様から頂いたご意見を参考にいくつか修正した点があります。心不全で入院される患者さんの数は年々増加しています。入院患者さんの疾患の割合のうち心不全で入院される患者さんは全体の2割を占めています。文献によると6カ月以内の心不全による再入院率は約27%、1年以内では35%と言われています。当院に通院中の患者さんでも1-3カ月程度で再入院になる方も少なくありません。そのために当院では、心不全手帳を作成しました。

「自己管理による心不全増悪の予防」を目的とし、具体的に心不全という疾患に対する知識の獲得、症状悪化の早期発見の手助け、地域の診療所や病院での連携だけでなく、高齢社会に伴いケアマネジャーや訪問診療、訪問看護、訪問介護の利用も増えていますので、医療介護従事者間での連携、情報の共有と悪化時の早期受診、入退院時のスムーズな移行をはかれるように工夫してみました。また、地域連携パスとしても使用するため、患者を地域で診ていくシステムになると思います。

現在お配りしている心不全手帳は、試作版を皆様にご提案し、事例を参考に手帳を使用し、様々な意見を頂きました。意見をご参考に修正し、目次は以下のようになっています。5つの点を改善しました。

①心臓と歯の関係について
②食事について
③心臓リハビリテーションについて
④患者情報について
⑤終末期について

まず①心臓と歯の関係についてを追加しました。歯周病や齲歯は動脈硬化や感染性心内膜炎との関係が深いため、患者さんが意識をすることで、日々の口腔ケアやメンテナンスを受けていただきたいと考えました。

②食事については管理栄養士の意見を参考にしました。心不全の患者さんや虚血性心疾患の患者さんに栄養指導を行う時に使用しているこちらの表を手帳に導入してみました。「あなたの塩分チェックシート」は普段の食事の行動について答えていきます。表の左側に印が付くほど塩分摂取が多くなるため、患者さんの食生活の注意点がはっきりわかます。定期的に行っていくことで日ごろの塩分摂取量を意識して頂こうと考えています。

③心臓リハビリテーションについては、12月の意見の中でどのようなリハビリをしていたのか知りたい、運動量が分かると嬉しいなどが多くあったので運動処方箋とし、記載が出来るように変更しました。

④患者情報については、試作版ではもっとADLについて詳細にわかるようにしてほしいとのご意見を多くいただきました。高齢化が増え在宅での療養を続ける患者さんも多いために必要な項目であると感じ、日常生活動作について記載する欄を追加しました。また状態が落ち着くと、かかりつけ医へ移行するため急性期医療機関からかかりつけの医療機関に移行する際の申し送りの項目を増やしました。また、かかりつけ医を記載するページにかかりつけ薬局や歯科、介護サービス等の利用時間を記載する項目の追加、緊急連絡先を増やしました。患者さんについての情報を細かく記載することで患者さんについて知る事が出来ると思います。

⑤終末期について、試作版では心不全の経過を図にしたものだけでしたが、図を分かりやすく変更しました。そして、心不全は急性増悪を繰り返し心機能が低下すること、この手帳を手にしたことをきっかけに今後どのように心不全と付き合いどのような生活を送りたいかかんがえてもらえたらいいかと思います。その思いを家族や医療者に伝えて頂ければと思いました。患者さんが参考に出来るように手帳に記載させていただきました。この項目を追加したことで患者さんが、心不全と言う疾患と向き合い、どのような生活を送りたいか考えていただくきっかけに繋がればいいと思います。また、終末期について説明した日を記入できるようにしました。

今後も適宜修正を行います。皆様の意見を参考にさせていただきたいと思っています。より良い手帳に向け、案や意見等教えていただけると助かります。心不全手帳の使用で患者さん自身の生活に合った習慣の獲得、QOLの維持・向上、自分らしい生活を叶えるために皆様のご協力をお願い申し上げます。

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