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船橋呼吸器内科

気管支鏡で診断がついた放線菌症

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気管支鏡で診断がついた放線菌症

症例:55歳、女性

主訴:咳嗽、呼吸困難
現病歴:X-3年12月頃より湿性咳嗽が出現し、近医で胸部X線写真を繰り返し施行されていた。徐々に症状が増悪し、臥位での呼吸困難と咳嗽発作が出現するようになったためX年5月に当科紹介初診となった。
既往歴: 特記事項なし
生活歴: 喫煙歴:20-23歳 10本/日、飲酒歴: ビール 700 ml/日
入院時身体所見:身長 153 cm、体重 45 ㎏
体温 36.5℃、血圧 124/76 mmHg、脈拍 87 bpm、SpO2 99%(室内気)
眼瞼結膜貧血なし、眼球結膜黄染なし
表在リンパ節触知せず
呼吸音清 左背側で呼吸音減弱
心音整 雑音なし
入院時検査所見:血液検査ではCRP 2.79 mg/dlと軽度上昇を認めるのみであった。腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。
画像所見:胸部X線写真では左下肺野心陰影に重なって辺縁不整な結節影を認めた、胸部造影CTでは左S10に不整な壁構造を有し、内部に空洞を伴う嚢胞性腫瘤を認めた。
気管支鏡所見:1回目の気管支鏡検査は左B10 aから、経気管支生検、擦過を施行したが、細胞診はclass 、抗酸菌培養検査、一般細菌培養検査は陰性であった。
2回目の気管支鏡検査では左B10cから、経気管支針吸引細胞診を施行し、鏡検で形態から放線菌が示唆された。抗酸菌培養、一般細菌培養は陰性で細胞診 class
治療経過:X年6月よりABPC 750 mg/dayによる治療を開始したが、6/30 ~7/27  FRPM 600㎎/dayに変更した。しかし7/28 ~X+1年2/28 ABPC 1500 mg/day(7か月)投与したが、血痰や画像所見の改善がみられなかったため、X+1年4月10日に胸腔鏡下左下葉切除を施行した。術後は6か月間ABPC 1500 mg/dayの内服を継続し、その後現在まで再発なく経過している。
病理所見:S9-10 に65×47×28㎜の周囲に白色の縁取りを示す空洞衛生を認め、周囲に出血を伴う。内部に壊死を認める。
組織学的に病変は内腔面に一部鋸歯状増殖を伴う扁平上皮化がみられ内腔に壊死物が貯留でしており、放線菌が含まれているようにも見える。周囲の白色部分は器質化であり、リンパ濾胞を伴う中等度の炎症細胞浸潤を認める。S6は軽い出血を伴う肺でありS10はリンパ濾胞を伴う軽度の炎症細胞診純を認める。放線菌様の菌塊が確認されこれに関連して慢性に経過した肺化膿症と考える。

考察:放線菌症は嫌気性もしくは微好気性菌であるActinomyces属によって引き起こされる慢性化膿性肉芽腫性疾患であり、胸部型はその15%を占める(Mabeza)。
放線菌は主に口腔内常在菌であり、歯周炎や抜歯、誤嚥などを契機に経気管支的に侵入して発症するとされているが、下葉よりも上葉に多いという報告もあることから口腔内感染巣から血行性に敗血症性塞栓を起こしている可能性も示唆されている(BrownJR:Huma acinomycosis,asutudy of181 subjects)
放線菌は嫌気性菌であること、先行する抗菌薬の使用や他の菌による汚染が多いことなどから培養が困難であるため、CTや穿刺吸引細胞診、経気管支肺生検の組み合わせでの診断が重要である。
肺放線菌症は慢性化膿性肉芽腫性疾患であることからActinomyces族の菌塊は病変の深部に存在することが多く、周囲は肉芽組織で囲まれており、通常の生検針では肉芽組織を通過できず、菌塊の部位を適切に採取できない(当科における肺放線菌症の臨床的検討)ため気管支鏡検査では確定診断が得られにくい。、気管支鏡で診断がつく症例は全体の  %程度と少ない。
肺中枢側に及ぶものや、比較的発症早期のものはTBLBの反復施行により診断の向上がある程度ものと思われ、確定診断には至らなくても採取組織の病理組織がglanulation tissueで或る場合には本症を示唆する1つの所見と思われる(肺放線菌症の臨床検討)
本症例も2回目の気管支鏡で診断が確定したが、組織形態からの診断であり培養検査で菌を同定することはできなかった。本症例は入院治療に拒否的であったため経口抗菌薬により治療を開始した。
通常は、Actinomycesはβラクタム、ペニシリンG、アモキシシリンに非常に感受性が高
いため、第1選択となるinfection and Drug Resistance2014:7
本症例は ABPC 750 mg/dayで治療を開始し、効果が見られなかったためFRPMに変
更したが、当初よりABPC 1500 ㎎/dayで治療を開始すべきだったと思われる。
無血管性と硫黄顆粒と呼ばれるアクチノミセスの密集により抗菌薬の移行性が悪く、従来は6か月以上の長期間の抗菌薬投与を要するとされてきたが、最近の研究では4週以内に病
変の縮小が期待でき、早期の抗菌薬反応性が治療効果の判断基準になるかもしれないと報告されている。
また、治療に先行する症状持続期間が抗菌薬の治療効果を決定し、外科的介入を受けたほうが治療結果がよかったという報告も(Song)
本症例では病変が心陰影と重なっており、診断が遅れてしまったことで、症状出現から治療開始まで2年が経過していた。症状持続期間長いほど抗菌薬治療に反応が低下するという報告もあるため、早期の外科的治療で治療期間を短縮できた可能性があると考えられた。
抗菌薬のみで治癒する可能性もあるため、本症例を疑うときは複数回の気管支鏡検査を施行することが勧められる

文献:
☆適切な治療期間を評価する論文
Jae-UK Song etal.AnnThorac Med. 2012; 5: 80-85
治療開始までの期間が長いと抗菌薬反応性が悪い
22%が3か月以上の抗菌薬治療後も画像上改善なしor臨床症状の改善なしで、治療効果における唯一の違いは、治療に先行する症状の持続期間
(Sladeの報告でも慢性化の程度で治療効果が変わると)

抗生剤の選択
通常は、Actinomycesはβラクタム、ペニシリンG、アモキシシリンに非常に感受性が高いため、第1選択となるinfection and Drug Resistance2014:7
☆21世紀初頭の94症例について
KIm et al Pulmonary actinomycosis during the first decade of 21st century: case of 94 patients
初診時に画像的に放線菌感染と診断されたのは6.4%
50%が外科的肺生検、24人がBFで
セファロスポリンで治療された症例の多くが手術を受けたのに対し、非手術症例のではペニシリンGの使用が多かったことから、ペニシリンが好ましいことが示唆された。合併症のない経症例であれば点滴の抗生剤も必要なさそう。


Treatment of thoracic action mycosis:A retrospective analysis of 40 patients
Song
抗生剤に反応がなければさっさとオペを
Ope した方が抗生剤投与期間が短い

当科における肺放線菌症の臨床的検討
小橋吉博 感染症学雑誌79;2 111-116

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