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腰背部痛を認めた胸椎圧迫骨折の一例

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腰背部痛を認めた胸椎圧迫骨折の一例

【主訴】背部打撲
【現病歴】2014年10月11日、植木の手入れをしている最中に脚立がぐらついてバランスを崩して1.5mの高さから落下した。土の地面に足で着地したが、右背部を鉄製の壁に打撲した。腰背部痛のため歩行困難となり、疼痛が改善しないため10月14日に当院救急外来を受診した。胸腰椎レントゲンにてTh10の圧迫骨折を認め、仙骨裂孔ブロックを施行した後に精査加療目的で同日緊急入院となった。
【既往歴】慢性貧血
【内服薬】なし
【社会歴】元々のADLは自立歩行、独居
【主な入院時現症】体温 37.2℃ 血圧 201/108mmHg 脈拍 81bpm SpO2 96%(RA)
意識清明 瞳孔2.5,2.5mm 対光反射+/+ 四肢麻痺なし 脳神経所見なし
下肢MMT full 感覚障害なし 膀胱直腸障害なし
Th11・12付近及びL3付近に圧痛あり 疼痛は臥位からの起立で増強
【主要な検査所見】WBC 9600/μL, RBC 410万/μL, Hb 12.3g/dL, Hct 34.3%, Plt 24.4万/μL, AST 26IU/L ALT 24IU/L, AMY 50IU/L, T-Bil 0.8mg/dL, CK 444IU/L, UN 15mg/dL, CRE 0.53mg/dL, CRP 5.17mg/dL, Na 139mEq/L, K 3.6mEq/L, Cl 103mEq/L, PT-INR 1.16, APTT 27.1sec, 血糖 103mg/dL
腰椎XP(2015/10/14) :腰椎側弯症あり Th12以下に明らかな骨傷なし
胸腰椎移行部XP(2015/10/14):Th10圧迫骨折あり
胸部XP(2015/10/14) :CTR 56% 両側CP angle sharp 肺野clear
心電図(2015/10/14) :脈拍 72bpm 洞調律 V1でT波陰転化
脊椎CT(2015/10/15) :Th10破裂骨折あり
脊椎MRI(2015/10/16):Th10骨折あり 後壁貫通し脊髄への波及を認める
【入院後経過】
#1.腰椎圧迫骨折
入院2日目に脊椎MRIにてTh10骨折を認め、入院3日目に脊椎CTにてTh10破裂骨折を認めたため手術方針となった。入院11日目に脊椎後方固定術(Th8-12に対する経皮的椎弓根スクリュー刺入)を施行した。ロキソプロフェン60mg頓服による鎮痛を行いつつ、入院14日目よりコルセットを装着し歩行訓練を開始した。杖歩行まで可能となったが、ADLの低下を認め、独居でもあることからソーシャルワーカーが介入し介護サービスを調整した。その後、経過良好のため入院29日目に自宅退院となった。
#2. 高血圧
入院後より血圧は130-160/80-90mmHg程度で推移しⅠ度高血圧を認めた。入院8日目に循環器内科コンサルトし、心エコーでは左室壁運動は良好、EF 60%程度、明らかな弁膜症も認めなかった。また、心不全徴候も認めず、その他全身合併症も認めなかったため、入院9日目よりテルミサルタン20mg 1T分1、入院10日目よりニフェジピン20mg 2T分2を開始した。その後は、血圧は110-120/60-80mmHg程度まで降圧され、至適血圧で安定したため近医へ紹介した。
【退院時処方】
テルミサルタン20mg 1T分1 ニフェジピン20mg 2T分2 酸化マグネシウム250mg 2T分2
【総合考察】
腰背部痛は一般外来、救急外来ともに頻度の高い症状である。整形外科的腰痛が圧倒的に多いが、腰背部痛を主訴とする致死的疾患、或いは整形外科的腰痛でも緊急性の高い病態があるのでよく鑑別を行う必要がある。
バイタルサインの異常がある場合、安静時の腰背部痛がある場合、疼痛の程度が強い場合などは積極的に整形外科以外の疾患から鑑別を行うべきである。中でも最も注意すべきは、ハイリスク患者における心血管疾患である。急性大動脈解離であれば突然発症の激しい疼痛、痛みの移動が特徴であり、血圧左右差、心エコーで解離フラップ・大動脈弁逆流・心タンポナーデ・心筋梗塞(右冠動脈領域が多い)、胸部XPで縦隔拡大を認める事がある。解離する場所により症状は様々で、脳虚血症状を示す事もあるので血栓溶解療法を行う場合には慎重な判断を要する。同様に、大動脈瘤破裂も出血性ショックに陥るため否定すべきである。両者とも造影CTが確定診断のための第一選択である。心筋梗塞、肺塞栓、呼吸器疾患(肺炎、強膜炎、気胸)なども、部位としては頭側寄りであるが腰背部痛の鑑別として念頭に置く必要がある。
他に、急性膵炎は胆石性、アルコール性の割合が高く、リパーゼ・アミラーゼの上昇、造影CTでの膵周囲の脂肪織濃度上昇から診断は難しくない。尿路結石・腎盂腎炎は、CVA叩打痛、血尿、腎盂拡大などが特徴的であり、結石の診断自体は単純CTが有用である。胆嚢炎、腎梗塞、異所性妊娠破裂、骨盤内感染症なども腰背部痛の原因となりうる。発熱、体重減少、担癌患者、結核、高齢、免疫不全などのレッドフラッグサインを認めれば、椎体炎、脊椎カリエス、椎間板炎、骨転移などのリスクがある。
整形外科的に緊急性の高い病態としては、溢流性尿失禁、臀部周囲の知覚障害、肛門トーヌス低下などを示す馬尾症候群である。また、脊髄圧迫症状、特に運動障害を認める場合も時間が経つと不可逆性となる可能性があり、疑った時点で整形外科コンサルトを行うべきである。
上記が否定されれば整形外科疾患を念頭に、神経根症状や間欠性跛行の有無を診察する。神経根症状を認めれば、脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなどが考えられ、症状の分布が障害部位の推定に有用である。認めなければ、圧迫骨折や非特異的腰痛が考えられる。非特異的腰痛は軟部組織や靭帯など、画像検査を行っても特に原因を指摘できない。特別な治療は必要とせず、鎮痛剤による対症療法を行い日常生活を続ければ1周間ほどで軽快する。
本症例は、高齢女性の外傷後より急性発症した腰背部痛であり、姿勢変化による疼痛の増悪を認め、整形外科疾患の可能性が強く疑われた。疼痛はADL低下がみられるも数日我慢できる程度のものであり、膀胱直腸障害や神経所見、レッドフラッグサインは認めなかったため、待機的に検査・手術を行っている。
参考文献)
1. 「ER実践ハンドブック」 樫山鉄矢、清水敬樹 編
2. 「ジェネラリストのための内科外来マニュアル」 金城 光代、金城 紀与史、岸田 直樹 編

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