整形外科

麻痺を呈した脊椎腫瘍に対する手術症例の検討

9月 22, 2018

麻痺を呈した脊椎腫瘍に対する手術症例の検討

船橋市の循環器内科

船橋市の循環器内科

【背景と目的】

転移性骨腫瘍は全癌の約30%に発症すると言われている。以前までは骨転移があれば末期と考えられていたが、近年の画像診断や治療の向上により骨転移出現後5年以上日常生活を送る症例も多く見られるようになり、転移性骨腫瘍の治療の重要性は増している。特に転移性脊椎腫瘍は脊髄圧迫により脊髄麻痺をきたし、患者のADL、麻痺、疼痛を大きく増悪させるため、骨関連事象の中ではまず第一に対応するべきものである。昨今では手術療法の進歩や骨修飾薬の導入、放射線療法の進歩などにより治療戦略は大きく進歩している。また骨転移の症状出現よりなるべく早期に手術を行うことで機能予後の改善を得られる可能性が高まる事が知られている。今回の研究では運動麻痺の出現より早期に治療介入することによる機能予後改善の程度を測る事を目的とした。

【対象】

脊椎腫瘍により麻痺をきたし手術治療に至った39症例を対象とした。原発癌種としては肺癌10例、乳癌7例、前立腺癌6例、大腸癌5例、腎癌3例、子宮頸癌3例、膀胱癌2例、食道癌1例、甲状腺濾胞癌1例を対象とした。

【方法】

症例の年齢、性別、原発癌種、運動麻痺発症から手術までの日数、手術法、放射線療法、骨修飾薬投与の有無、手術前後でのADL・麻痺・疼痛を比較検討した。ADLはPerformance Statusに基づいて5段階で評価し、運動麻痺はFrankelの分類に基づきA~Eの5段階で評価した。疼痛はGrade Ⅰ:疼痛なし、GradeⅡ: 軽度の疼痛で内服なし、Grade Ⅲ: NSAIDsの内服、Grade Ⅳ: 麻薬の内服の4段階で分類した。これらの検討に文献的考察を加えて報告する。

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