高血圧症

積極的降圧療法

9月 17, 2018

積極的降圧療法を行う。

循環器内科

循環器内科

循環器疾患の予後が改善しない元凶は、根源である高血圧が未だ克服できていないことにある。

循環器疾患発症の半分以上が高血圧に起因するものであり、国民全体の血圧値は過去50年で大きく低下しているが、高血圧有病率は依然高く、降圧薬内服患者の半数以上は未だ管理不十分である。また、深刻なのは未発見・未治療の高血圧患者であり、健診受診率は未だ高いとは言えず、検診で高血圧を指摘されても医療機関を受診しない患者も多い。これでは国民の健康寿命の延伸は望めるはずもない。このような現状において、改めて我々がすべきことは、「高血圧とは何か?」をもう一度考え直し、高血圧の循環器疾患発症進展におけるリスクの大きさを認識することであろう。

血圧は、有効血液量が決定する心臓の前負荷と心拍出量曲線で決定される心拍出量がコンプライアンスの低い動脈系に急速流入することで血圧が発生する。圧受容器反射が不全になると血圧制御が困難となるだけでなく交感神経も活性化し、レニン・アンジオテンシン系活性化も加わると圧利尿関係も悪化して有効血液量が過剰になる。高血圧では交感神経が入力されて末梢臓器から血圧が発生する末梢弓はほぼ変わらずに、脳が血圧を感知して交感神経出力を決定する中枢弓がシフトしているが、迷走神経求心路刺激により改善する。つまり、肺の進展や消化管・骨格筋を積極的に刺激し、適正な減塩を行うことが高血圧治療の本質である。また、血管拡張だけでなく有効血液量の適正化が重要であり、本邦では使用頻度が十分とは言えない降圧利尿剤の見直しも求められる。高血圧こそが心血管イベント抑制の残余リスクであることを医療従事者のみならず国民全てが認識し、生活習慣の改善の上で、行うべき降圧治療を当たり前に全ての高血圧患者に行うことこそが必要である。

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