甲状腺内科

甲状腺眼症治療薬テプロツムマブ

10月 5, 2024

活動性甲状腺眼症の治療薬である、テプロツムマブ(teprotumumab 商品名:テッペーザ)は、主に甲状腺眼症(バセドウ病眼症)の治療に使用されるモノクローナル抗体です。IGF-IR を阻害するヒトモノクローナル抗体です。テッペーザは、通常、成人にはテプロツムマブ(遺伝子組換え)として初回は10 mg/kg を、2 回目以降は20 mg/kg を7 回、3 週間間隔で計8 回点滴静注する薬剤です。甲状腺眼症ではIGF-1受容体が過剰発現しており、テッペーザはIGF-1受容体を阻害することで、外眼筋および眼窩内脂肪組織の肥大や炎症を軽減し、眼球突出をはじめとする眼症状を改善させる効果が期待されます。甲状腺眼症に対しては、これまで疾患の根本原因に作用する治療薬が存在せず、高用量のステロイド投与や手術といった患者さんにとって負担のある治療が主流でした。今回、テッペーザが日本で製造販売承認されたことにより、活動性甲状腺眼症の患者さんに新しい治療選択肢を提供できることになりました。

この薬の副作用には以下のようなものがあります。

  1. 高血糖:患者の約10%に見られ、特に糖尿病や耐糖能障害の既往がある人に多いです。
  2. 聴覚障害:耳鳴りや聴覚障害が約10%の患者に報告されています。
  3. 下痢:12%の患者に見られますが、一般的に軽度で可逆的です。
  4. 吐き気:14%の患者に見られます。
  5. 脱毛症:11%の患者に見られます。
  6. 味覚異常:8%の患者に見られます。
  7. 頭痛:8%の患者に見られます。
  8. 皮膚乾燥:8%の患者に見られます。

これらの副作用は、点滴の終了または中止後に消失することが多いです。

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